
ロビンソンとヘリポート
ロビンソン社にとって、昨年は非常に良い年であったという。なにしろ会社創業以来初めて売上高が1億ドルを超えたのである。
ヘリコプターの生産機数は毎日1機以上の360機。世界中のヘリコプター・メーカーのどこよりも多い。ということは、少なくとも機数では前年に引き続いて世界最大のメーカーということになる。
内訳は、126機が2人乗りのR22、264機が4人乗りのR44。昨年からR44は操縦系統に油圧を組みこんで操縦操作が軽くなり、一挙に人気を高め前年比76%増という売れ行きとなった。
パイロットにとって、堅くて重い操縦桿は単に肉体的な疲労ばかりでなく、いざというときのことを思うと精神的な不安も伴う。それが軽くなって安心感も生まれるとすれば、そこには雲泥の差があるといえよう。
将来は、この売れ行きをさらに促進するため、R44のエンジン出力を強化し、高空性能を高める計画がロビンソン社で進んでいる。R44のエンジンは現在ターボ過給器つきのライカミングO-540だが、その高空性能を上げるためにライカミング社からは過給器を二重にしてはどうかというアイディアが提案された。
しかしロビンソン社としては、ツイン・チャージャー・エンジンは好ましくないと考えている。というのは、過給器にはもともと、燃費が大きく、機構が複雑で信頼性に乏しく、オーバホール間隔も短いといった問題があるからだ。
そこで通常のエンジンで、出力の大きなものをライカミング社に要求し、この3月からでもR44に搭載して飛行試験に着手したいと希望している。これが完成すれば、将来は6人乗りのR66に進みたいという考えもロビンソン社長の頭の中にある。
なお、ロビンソン社は今年から、さらに生産機数を増やし、毎週R44を6機、R22を4機生産する態勢をととのえつつある。つまり昨年の毎週7.5機に対して、今年は毎週10機の生産というわけである。
こうした機材の開発や生産に加えて、ロビンソン社はこのほど小さな屋上ヘリパッドの設置促進に乗り出した。これもヘリコプターの普及を促すためであることはいうまでもない。
フランク・ロビンソン社長の考えるヘリパッドとは、大きさが6m×6m。これをオフィスビルなどの屋上にポンとのせるだけで、総重量3,000ポンド(1,360kg)くらいまでの小型機が着陸できるようになる。建物の強度を改める必要はない。費用は数千ドル程度。ちなみにR44は総重量2,400ポンドである。
ロビンソン社長とヘリポートの関係については、最近、同社工場から近いロサンゼルス国際空港のヘリポート問題があった。この空港では1984年のロサンゼルス・オリンピックに際して、ターミナル・ビル群の中心にある4階建ての駐車ビル屋上にヘリポートが設置された。その後ここからヘリコプター定期便も飛んでいたが、最近は利用度が減ったうえに、駐車スペースが手狭になってきた。そのため昨年10月、空港当局はヘリポートを閉鎖して屋上駐車場にするという計画を打ち出したのである。
そこでロビンソン社長はロサンゼルス周辺のヘリコプター会社と組んで、ヘリポート救済運動を展開、ついに昨年末、空港当局の閉鎖プランを撤回させるのに成功した。そして、このヘリポートの利用度をもっと高めようというので、2月なかば3日間にわたってロサンゼルス近郊で開かれた国際ヘリコプター協会(HAI)大会の最終日、ロビンソン社は大会への参加者を同社の工場見学に招き、その帰りはロサンゼルス空港までヘリコプターで送るというイベントを展開したのである。
ロサンゼルス国際空港は、ご存知のように4本の長大な滑走路が平行して走っている。ターミナルビルや駐車場、その屋上のヘリポートは2本ずつの滑走路にはさまれた中央部分にあり、そこから飛び立ったヘリコプターは滑走路の上を横切って空港の外へ出なければならない。そのとき、ヘリコプターの乗客は自分の足下を巨大なジャンボ機が滑走していくのを見ることができる。
昔の「大空港」という映画のスクリーンの中に入りこんだようなスリルが味わえるのだ。日本から行けば、日航や全日空の到着する国際ターミナルを出たところの正面に駐車ビルがあり、その入り口に「HELIPORT」と書いてある。そこからエレベーターで上がれば、ヘリポートにゆける。ぜひ一度お試しあれ。
(DMB、2001.2.28)

(ロビンソンの提案する簡易屋上ヘリポート概念図)

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