X-32Bが初の垂直着陸

 

  

 米3軍と英海軍が共同計画中のSTOVL戦闘攻撃機、ジョイント・ストライク・ファイター(JSF)は、ボーイング社とロッキード・マーチン社が競争で開発をすすめているが、去る6月27日ボーイングX-32Bが初めての垂直着陸に成功した。これで同機は短距離離陸、ホバリング、垂直着陸といった一連のSTOVL飛行能力のすべてを実現したことになり、その間の転換飛行はいずれもスムーズであった。

 具体的には通常の滑走離陸後、P&W JSF119エンジンのリフト・ノズルを後向きの巡航状態から下向きにして、地上150フィート付近でホバリングをしたのち50フィートまでやや前進しながら降下、そこから垂直に接地したものである。これはX-32Bの49回目の飛行であった。

 つづいて燃料補給後、X-32Bはもう一度同じ飛行をおこなった。これより3日前の6月24日、同機は通常の巡航飛行状態から空中で停止するホバリングへの転換に成功し、垂直離陸にも成功していた。


(ボーイングX-32)

 一方、競争相手のロッキードX-35は6月23日にホバリングに成功、24日に垂直離着陸を実現していた。X-35はリフトファンを使い、主エンジンでこれを駆動して垂直方向の水力を得る仕組みになっている。一方、ボーイング機は後方排気ノズルを閉じて、エンジン推力をリフトノズルに切り替え、1〜3秒以内に垂直方向の推力を得るようになっている。

 JSFの競争開発は今年10月1日には双方いずれが採用になるか、決着がつく予定。この決定は、実は米3軍の今後の形態を決めるだけではない。欧州諸国もまた、どちらに軍配が上がるかを見ている。そのうえアメリカ政府の中には国防費の負担軽減のためJSF計画を中止する考えも出てきた。

 こうした動きを、固唾を呑んで見守っているのが旧式のF-16を使っているノルウェーやギリシャで、そろそろ機材取り替えの時期になっていることからF-16の後継機としてJSFを今後の戦闘機調達計画に組み入れるかどうかの別かれ目になる。もしJSFがキャンセルになれば、欧州独自のユーロファイターの生産機数が大きく伸びることになろう。

 アメリカとして将来の戦略を考えても、JSF計画を中止するようなことはしたくない。けれども、F/A-18E/FやF-22と同時にJSFも調達してゆくとすれば、戦闘機調達予算は冷戦時代を上回るようになってしまうので、政治的にはとうてい認められないだろう。

 JSFは技術的には成功といえよう。けれども政治的にはきわめて困難な状況に直面している。が、その困難な状況も3か月後には結論が出るであろう。

(DMB、2001.6.29)

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