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項 目 |
デ ー タ |
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最大全備重量 |
7,258kg |
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標準空虚重量 |
4,763kg |
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乗員/乗客 |
2人/6〜9人 |
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エンジン |
P&W PT6C-67A |
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離陸出力 |
1,941shp×2 |
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燃料タンク容量 |
1,381リッター |
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最大巡航速度 |
509q/h |
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上昇率 |
456m/分 |
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実用上昇限界 |
7,620m |
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ホバリング高度限界(地面効果外) |
1,524m |
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航続距離 |
1,389km |
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航続時間 |
3時間 |
こうしたBA609を実用に供する場合、社用ビジネス機ならば、乗客はゆったりしたシートに最大6人乗り。都心部のオフィスに近いヴァーティポートからヘリコプター・モードでカテゴリーAの離陸をしたのち、少しずつ加速しながらローターの向きを変えて遷移飛行をおこない、1分後には高度180m、速度370km/hで、進出距離2.8kmの地点に達する。
そこからは固定翼モードで上昇と加速をつづけ、離陸から15分後には高度6,000m、速度509km/hに到達。このときの進出距離は83kmで、以後500km/h前後の巡航速度で1,300km以上を飛ぶことができる。
海洋石油開発の人員輸送に使う場合は、搭載人員1人当たりの重量が手荷物を入れて100kgと想定し、最大9人をのせてカテゴリーAの離着陸をしながら、30分(230km)相当の予備燃料を残して、沖合460kmまで往復することができる。また気温35℃の高温時でも、予備燃料30分で、沖合370kmまでの往復が可能。
沿岸警備隊には捜索救難用のHV-609が提案されている。吊上げホイスト、バスケット、リッター、救命ラフトなどを装備、海岸に近い基地からパイロット2人のほかに救助隊員2人をのせて滑走離陸をしたのち278kmの沖合へ進出、30分間の捜索活動と15分間の吊上げ活動によって平均体重90kgの遭難者6人を救助して元の基地へ戻ることができる。
遭難地点がもっと遠い場合は、増加燃料タンクをつけて沖合370kmまで進出、同じように6人を救助して戻ることが可能。
また麻薬の密輸監視など海上パトロールにあたるときは、乗員2人だけで増加燃料タンクをつけ、滑走離陸をして沖合1,296kmまで進出し、戻ってくることができる。この間の航続飛行時間は5.8時間に達する。
さらに救急医療機としては、医師や看護婦などの医療スタッフ3人とストレッチャーに寝かせた患者2人を搭載、気温35℃の高温でも、45分相当の予備燃料を残して370kmの区間を往復できる。この場合、氷結気象状態での計器飛行も可能である。
こうしたBA609は、最近までに設計図面の9割以上が完成、治工具も出来上がって、試作の準備が進んでいる。風洞試験もうまく進んでおり、原型1号機は今年末か来年初めにも初飛行する予定。そして2002年夏に型式証明を取る予定だが、先ずはVFR機として承認を取り、次いでIFR機として承認される予定。
最近までの受注数は77機。注文は18か国、41社から出ており、40機は北米から、22機は欧州から、12機はアジアから、3機は南米からという内訳。そのうち3機は日本の三井物産からの発注。将来は今後20年間に1,054機の需要があるというのがベル社の予測である。
BA609については最近、新しい大型化構想も聞こえてくるようになった。今のままではビジネス機や般用機としてはともかく、旅客輸送には小さ過ぎるきらいがある。新しい構想はそれに応えるもので、今のところ次の4案が検討されている。
そのひとつBA619は旅客19人乗りで、3,000shp級のエンジン2基をもち、総重量は12,700kg。これを大きくしたBA626は26人乗りで、BA609のPT6Cの出力を増強したエンジン2基を装備する。それをさらに大きくしたBA627は27席。エンジンはV-22と同じT406か、PW150またはGE CT7ターボプロップをティルトローター用に改造したものとなる。
そしてBA632クオッドは、PT6Cエンジンの主力増強型とローターを4基ずつ装備するクオッド形式の32席機である。
これらの構想は、ベル社がいま策定中の「プロダクトプラン2010」の中で具体化されるものと思われる。
型 式 |
客 席 数 |
エ ン ジ ン |
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BA609(開発中) |
9席 |
PT6C-67A(1,900shp)2基 |
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BA619 |
19席 |
3,000shp級エンジン2基 |
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BA626 |
26席 |
PT6C出力増強型2基 |
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BA627 |
27席 |
AE1107(6,000shp)2基 |
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BA632クオッド |
32席 |
PT6C出力増強型4基 |
そうした動きに対して欧州勢も黙って見過ごすわけにはいかない。イタリアのアグスタ社はベル社に協力してBA609の開発に参加する一方、「エーリカ」と呼ぶ独自の研究計画を打ち出した。同機は固定翼の外側半分がローターと共に変向し、内側半分は動かない。したがってティルトローターとティルトウイングの両方の特徴をそなえる。
ティルトウイングは元来、主翼を立てたときに抵抗が大きく、特に加速の際に大きくなるという欠点があった。一方、純粋のティルトローターは主翼上面にダウンウォッシュが当たって揚力の効果が妨げられる。そこでアグスタ社のアイディアは双方の欠点をやわらげ、揚力を10%余り増やすことが可能。したがってローター直径は小さくてすみ、小さければ速度を上げることができるので、最大巡航速度は650km/hになるという。
また主翼外側を7°傾ければ通常の滑走離着陸もできる。エンジンは主翼内側の固定部分に取り付けられる。
欧州ではもうひとつ、ユーロコプター社を中心とする「ユーロティルト」計画がある。1990年代初めのユーロファー構想を受け継ぐもので、エンジンは主翼に固定したまま、ローターだけが変向する。したがって変向のためのエンジン改造の必要がない。また変向重量が少なくなるため、主翼の構造も簡単になる。ユーロティルトは19席で総重量10トン。速度550km/hで航続1,500kmという。
これら2種類のティルトローター構想を、アグスタ社とユーロコプター社はそれぞれ別個に欧州委員会に提出し、研究と試作のための資金援助を申請した。その結果、昨年末、両社共通の計画にまとめてはどうかという示唆があり、目下その話し合いがおこなわれている。
話し合いの結果は間もなく出る予定だが、おそらくは総重量10トン、乗客20〜25人乗りになるもよう。高翼主翼とT型尾翼をもち、エンジンはRTM322クラス。試作機が飛ぶのは2005〜2006年頃、実用化は2008年が目標と伝えられる。
かくてティルトローターは近い将来、日本を含めて世界中に普及し、軍用と民間を問わず、さまざまな分野で使われるようになるであろう。
アメリカ政府は1992年、民間ティルトローター開発諮問委員会を設置、ティルトローターの民間利用の可能性について調査研究をおこない、その結果を95年に答申した。その報告書の中にティルトローター機に関する世界の需要予測がある。
それによると、旅客40人乗りのティルトローター機の需要は次表の通りとなっている。
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北米 |
385〜525機 |
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欧州 |
300〜400機 |
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日本 | 300〜400機 |
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オセアニア |
100〜125機 |
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1,085〜1,450機 |
ほかに貨物機として75〜150機の需要を予測しており、総計では1,160〜1,600機になる。したがって日本1国だけで欧州全域と同じだし、北米とも余り変わらない。いかに日本が期待されているかが分かる。
余談ながら今から10年ほど前の1989年、当時のチェイニー国防長官がV-22の開発打ち切りを宣言した。そのとき議会は逆に予算をつけて、開発を続行した。この結論に至るまで、米国議会でティルトローターの開発を打ち切るかどうか賛否を問う議論がおこなわれた。その中で議員の1人は、今ここでティルトローターの開発を中止すれば、これまでの長年の努力が無駄になるばかりか、残った成果を日本に買い取られ、先端技術が日本に流出するだけでなく、アメリカは将来、日本からティルトローターを輸入しなければならなくなる。自動車に次いで航空機でも日本に負けていいのかという議論があったらしい。
日本の地形は確かにティルトローター向きであり、アメリカからも欧州全域と同じレベルで期待されている。それに応える必要があるかもしれない。
(西川渉、『別冊航空情報ヘリコプターのすべて』、2000年7月刊掲載に加筆)