高角低速進入の要点はピッチ操作もフレアー操作も小さく緩徐に行うことである。
不整生地には障害物があると思わなければならない。教科書どおりの偵察をし、風向風速の判断が正しくとも、通常着陸では下りられないことが多いのだ。まして天候により不時着しなければならないとき、7度60ノットのパスでは危険極まりない。
未熟な段階では、フレアー・アウトでピッチ操作に回転を合わせることができず、沈みを止められないでテイルをつき横転大破した。なんてことが普段に起きる。
実践的高角低速進入
したがって実践的ヘリコプター操縦の高角低速進入は30ノットで行う。この際に気をつけなければならないのはH-V線図を外れてしまうことだ。建前からすればH-V線図は避けなければならない。
H-V線図には大きな前提がある。着陸面が水平で平滑であることだ。軟弱な地面、凹凸があったり傾斜していれば、前提は崩れる。フレアー・アウトがスムースにできることも条件だ。環境が悪かったり未熟であれば、H-V線図での保証は意味が無い。
H-V線図はエンジン停止に対処するよう作られている。問題は確率である。アボイド・エリアにいる時間は秒の単位である。その間にエンジンが止まる危険性と、進入面の地面とピッチ操作に失敗する確率を比べてみる必要がある。どっちが大きいかである。残念ながら確率は一桁も二桁も違うのだ。
本音の高角低速進入はフレアーを掛けず、速度の減少に応じてピッチを上げ、決して姿勢もパワーも急激にしない着陸法なのである。操縦ミスが圧倒的に小さい。
急角度離陸
急角度離陸は慣れないかぎり推奨できる離陸法ではない。利用できる馬力、風向風速、気温、離陸高度、越さなければならない障害の高度、全備重量、重心位置、その他影響のある事項が、正確に掌握されていなければならない高度なテクニックだからである。もちろんH-V線図には触れる。
もしそうしなければならないような場所であったら、その前に着陸したことが問題であり、先を読むことができなかった不明を反省するべきだ。
とはいっても、そのような事態になったらそうするしかない。細心の注意を払って挑戦しなければならぬ。
実践的ヘリコプター操縦
ニューヨーク・ダウンタウン・ヘリポート
まず@でスキッドを軽く接地させたホバリングをする。ホバリングが安定したところで緩徐にピッチ・レバーを上げAで40ノットの機首姿勢にセットする。この際機首を下げすぎないとトが大切で、また無駄なパワーをロスしないよう細心の操縦が必要だ。方向も維持してBではフル・パワーになっていなければならない。
対地50フィートか障害物をクリアーしたら通常の離陸に戻す。もしできるなら、右ホバリング・ターンをまじえて操作し、全馬力をメイン・ローターに集める着意も必要だ。



熟練したパイロットなら、進入や離陸は直線でなければならないとは思っていないのである。それよりは、障害物や使えるエンジン・パワー、エンジン停止したときの処置をめまぐるしく考えている。
離陸するにしても着陸するにしても、地面効果やトランスレーショナル・リフトを最大限活用するには、どうするべきかで力量が知れる。H-V線図は考慮するが、間抜けなことはしたくないと思うのだ。見栄でなく誇りがそうさせる。
教科書高角低速進入
建前としての高角低速進入は、機種に定められたH-V曲線に沿った着陸になる。R-22の場合対地高度100フィートまでは53ノットを維持し、50フィートで48ノット、25フィートで40ノットになるよう速度と高度のパスを維持する。以後はフレアーを掛けて減速し、着陸点にホバリングする。
この操作は通常着陸より深いパスで進入するから、使用しているコレクティブ・ピッチは低く、ほとんどフラット・ピッチに近い。フレアーとフレアー・アウトの高度やタイミングを間違えると、最後の瞬間に機体の沈みを止めきれずハード・ランディングになる可能性がある。
次の図は典型的な高角低速進入のパスを示す。もしヘリコプターがR-22なら、@でピッチを下げ53ノットをセットし、Aでアプローチ角15度、53ノットに安定させる。Bで軽いフレアーをかけ、減速しながらヘリポートに停止する。フレアー・アウトも緩徐なものなる。

狭隘地への着陸は高角低速進入である。正規のヘリポート以外は狭いと考えると、むしろ通常着陸より多用する着陸法である。ライセンス取得以後は、最も馴染まなければならない着陸法として習熟しておかなければならない。
離陸は狭隘地の様子に応じてどんな離陸法をとるか選択の幅は大きい。安全に離陸できると判断すれば通常離陸でも良い。あえて急角度離陸を試みる必要は無い。ただ本質的に違うところがある。
トラフィック・パターン
実践的ヘリコプター操縦の離着陸では、教科書的レキュタンギュラー・トラフィック・パッターンを回ることはない。地形に合わせて自在にコースを変える。90度のサイド・アプローチだったり180度のオーバーヘッド・アプローチだったりもする。時には上昇反転して着陸することもある。
もっとも普通なのは、最終進入コースが曲がっていたりすることだ。ニューヨーク・ヘリポートでもマンハッタンに沿ってトラフィック・パターンは曲がっている。